中国ビジネストラブルを事前回避するために2008年05月20日 11:55 アクセス数:
1.契約自由の原則の採用旧経済契約法の時代においては、計画経済制度下で契約に対して厳しい管理が行われ、契約無効事由も多く存在しました。 新しい契約法は、契約自由の原則を明確に打ち出しています。 ここで、契約自由の原則とは、当事者は自発的な意思に基づいて契約を締結するかどうか、 誰とどのような内容の契約を締結するかどうかを決定することができ、他人の関与を受けないことをいいます。 契約の効力は公序良俗に反しない限り原則として有効とされ、当事者間で拘束力を持つことになります。 2.契約の成立これまでは、契約の成立に関する明確な規定等がなく、実務上、契約が成立しているかどうか(成立していると契約上の義務を負うことになる)の紛争が多かったと いわれています。 新しい契約法では、契約は申込と承諾により成立するとし、申込と承諾の具体的な制度を規定しています。 【申込とは】 他人と契約を締結することに関する意思表示であり、 内容が具体的でかつ他人の承諾を受けて当該意思表示の拘束を受ける意思を表明しているものをいいます。 申込の効力は到着時に発生します。 電子商取引の場合は、申込が受取人の指定した特定システムにより当該データが受信された時に申込が 到達したとみなされます。 【承諾とは】 申込の内容に同意する意思表示であって、通知の方式、取引慣行、申込で規定した具体的方法をもって 行うことができます。 中国の契約法は承諾発生の効力について、到着時に生ずるとされています(いわゆる到着主義)。 3.契約形式(契約書の作成が必要か?)これまでは、契約は書面の形式をとる必要がありました。国内契約で直ちに履行されるもの以外のものと渉外契約は、書面(電子データ文でもよい)を要求されていました。 これに対し、1999年に施行された契約法では、口頭による契約も認められています。 とはいえ、法律等により書面形式を採用すべきとされる場合(金銭貸借契約、期間6ヶ月以上の賃貸借契約、 ファイナンスリース契約、建設工事契約、技術開発契約、技術譲渡契約等)や当事者間に書面形式にする 合意のある場合には、書面形式を採用すべきとされています。 このように、例外的に書面の形式を要求されるにすぎなくなったものの、 書面を作成はトラブル回避に不可欠です。 契約書が存在しないのに、契約違反を主張してもほとんど効果はないといってよいでしょう。 4.契約書作成時の注意事項中国企業が相手方の場合に曖昧な表現を用いると相手方に有利に判断され、結局、『やった者勝ち』という状況になります。こうなると、ホームゲームをしている中国企業側が 有利になるのは当然のことです。 とにかく、不利に解釈されるおそれのある事項は、 契約書上で明確にするべきです。具体的には、以下の事項に注意するとよいでしょう。 ・権利、義務を明確にする。 ・違約責任の内容・範囲を明確にする。 ・管理、運用上のルールを明確にする。 ・事情の変化により違約責任を負う可能性のある条項を避ける。 ・紛争の仲裁は、第三国か、被告の国にすることが望ましい。 5.売掛金の回収対策(1)支払いの引き伸ばしに対する感覚の違い中国での売掛金の回収は、日本と比較して非常に難しく、時間もかかります。 これは、売掛金の支払いが遅れることに対する認識が日本と大きく異なることによるところが大きいといえます。 中国においては、手形小切手の不渡制度や期限の利益喪失条項がなく、 日本に存在するような『支払が遅れる会社=危ない会社』というイメージが存在しません。 支払が遅れることにより、企業イメージや信用を失うといった感覚はないからです。 このような中国における事情が売掛金の回収を困難にしているといえます。 (2)原則として前金 支払条件は、原則として現金の前金(又は、納品との引き換え)とします。 それ以外の場合は、銀行支払保証手形、企業引受手形、小切手を用います。 (3)与信管理の徹底 新規取引先に対しては、与信調査を行います。信用調査会社を通して顧客の基本情報を収集します。 あらかじめ、収集した情報と社内の与信管理規定に基づき、与信限度額を設定します。 大きな取引を開始する場合には、総経理等の経営層が新規取引先の経営者を直接訪問し、 経営者の方針や人柄等を知る機会があるとよいでしょう。 (4)書面による契約 取引開始時点で支払条件を明示した契約書を作成します。契約締結にあたっては、 相手方から必ず契約用の公印と取引責任者のサインをもらいます。 (5)書面による督促 取引先の支払いが遅延した時は書面で督促を行う必要があります。 書面で督促を行わないと消滅時効が成立し、売掛債権が消滅してしまうことがあります。 関連記事
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